アール・ヌーヴォーの建築 #3 ~バルセロナ編

Mandala Design sachiです。
これまでに、ベルギーで始まったアール・ヌーヴォー様式の建築がフランスに伝播したことなどに触れてきました。

 

■ アール・ヌーヴォーの建築 #1 ~ブリュッセル編
■ アール・ヌーヴォーの建築 #2 ~パリ編

 
 

最後はバルセロナ編です。
アール・ヌーヴォー文化の発祥順に北から書いてきたけれど、自分がこの旅の最初に訪れたのは実はバルセロナ。
何はなくとも、アントニオ・ガウディの建築を実物大で見たかったのです。

 

******************

 

スペインでは、アール・ヌーヴォーは「モデルニスモ」と言われた。
この国には、日本人が大好きなガウディだけでなく、ドメネク・イ・モンタネールや、ガウディの右腕ジュゼップ・マリア・ジュジョールなど、多くの優れた建築家がいた。

 

バルセロナの街を歩くと、石造りの趣きのある建物が立ち並んでいるのが眺められる。歴史的価値の高い建造物と思わしきものもさりげなくそこにあって、とても豊かな気持ちで散歩することができる。
成熟した文化を持つ大人の街、という印象を受けた。

 

通りを行く人たちは知的で真面目そうに見えた。ただの印象だけで言っているけど。女性は黒っぽいコートにバッグを斜め掛け、というファッションが多かった(初冬だったので)。黒ぶち眼鏡率が高かったかな。
平均身長はおそらく日本人と大差なく、親しみ易い感じがした。
(ただし、バルセロナはスペインの中でも色々な意味で異質(ユニーク)な都市なのだという。バルセロナのあるカタルーニャ州はその昔、独立国だった。そのため文化的に独自の路線を当時から保持しており、ここの人々は「スペイン人」というよりも「カタルーニャ人」という意識が強いのだと聞いた)

 
 

「サグラダ・ファミリア(聖家族教会)」
20130607_539945

まずは言わずと知れた、サグラダ・ファミリア

 

もともとはこの聖堂の外観を楽しみにして来たのだが、入ってみると内部の美しさに夢心地になった。

 

SONY DSC

 

20130607_539958
ステンドグラスから透かし見る光が、幻影のよう。
天からの木漏れ日。

 

SONY DSC
どこからか、パイプオルガンの音色が響いてくる。

 

20130607_539960
立体フラクタル!

 

20130607_539962
きれいな色。なんて書いてあるのかな。

 

20130607_539964
まだ色が入っていないところも。建築現在進行形。
天井の相似形な眺めに、頭ゆらゆら。幻覚を見ているみたい。天国だし地獄だと思った。こんなものを三次元で作ってしまうなんて。どんな曼荼羅画家も叶わないよー。
聖堂内はきっとどの位置から見ても完璧で、どこに座った人もこの超越した境地をきちんと満喫できるように計算し尽くされているのだろう、と思った。

 

SONY DSC
外観はね、あの全体の造形。悪魔つきみたいだと思う。どろどろに溶けてる。なんでこうなるのだろう、と思う。この世以外のところからのインスピレーションがあったとしか思えないシルエット。おどろおどろしくて禍々しくて、とてつもなく悪趣味で。でも抗えないような魅力があると思う。

 

20130607_539970
「降誕のファサード」
サグラダ・ファミリア主任彫刻家の外尾悦郎氏(1953年 -)が関わったところのながめ。

 
 

「カサ・バトリョ」
20130607_540115
ガウディ建築で自分が一番かっこいいと思うのがこの「カサ・バトリョ」
エレガント、かつ超ワイルド。なんて言ったって髑髏(しゃれこうべ)よ。
カラフルな外壁は、弟子のジュジョールによるもの。
(左隣も有名な建築物。プッチ作のカサ・アマトリェール)

 

滞在していたホテルから近くてびっくり。歩いて3分。
バルで食事した帰りにライトアップしたながめまで見れてよかった。

 

SONY DSC
夜の彼。
ますます怪しい。。
してその中身はこんなふう。

 

20130607_540119
どこが壁で、どこからが天井?入り口からすぐの階段室。
さあ、探検の始まりだ。
しっかりした背骨を持った生き物の中に潜入。

 

20130607_540128
扉の上のガラス。細胞ぶくぶく。どこを見ても柔らかな曲線。
軟体動物がイメージされる。

 

20130607_540135
天井にはドレープが。胃のなか内視鏡でみるとこんなだよね。軽度のびらんが見られます。シャンデリアがへそ的存在かな。すぽんと抜いたら間違いなく崩落だね。。(妄想は続く…)

 

20130607_540150
吹き抜けエリアは青の世界。まるで海の底にいるよう。
(天窓のすぐ下はコバルトブルーだが、下に行くに従って、青色、水色、パールグレー、白と色が変化していく。中庭から見上げた時に、下から上までほぼ同じ色に見えるようにと、考えられているという)

 

20130607_540151
細部まで素晴らしい。

 

20130607_540167
屋上に出た。空が青い。

 

20130607_540168
このウロコみたいなのが赤~グリーン~ブルーのグラデーションになっている。かっこいいな!
「ドラゴンの背中」と呼ばれているそうだ。

 
 

「カサ・ミラ」
SONY DSC
地元の人からは「ラ・ペドレラ」(石切場)と呼ばれたカサ・ミラ。
予算オーバーが度重なり、工事期間中はガウディと施主との争いが絶えなかったという。
だるだるのシルエットが魅力的!

 

20130608_541018
中庭からの眺めは、すぱーん!
吹き抜けは、もう一カ所あります。

 

20130608_541016
カサミラ屋上のおとぼけおじさん衆(煙突です)。
あちらに見えるのはサグラダファミリア。今日も工事やってる、やってる。

 
 

「グエル公園」
20130608_541037
グエル公園は、ガウディのパトロンであるエウセビオ・グエルによる依頼で作られた。
当初の予定では、20ヘクタールもの広大な敷地に、60戸の分譲住宅をつくる予定であったが、実際に家を買って住んだのはグエルとガウディのふたりだけだった。(それ、泣けてきます…)
現在では、世界一有名な公園として、市民や観光客で賑わっている。

 

20130608_541033
正門近くの事務所。ザ・お菓子の家。

 

20130608_541035
モザイクタイル担当は、弟子のジュジョール。

 

20130608_541036
傾斜した地形をそのまま生かした回廊。
歩くと、ひんやりとして気持ちいい。
観光客が途切れた奇跡の瞬間をカシャ。

 

20130608_541034
なぜかこのフェンスに惹かれ、狂ったようにシャッターを切る自分。別に見どころでも何でもないただの柵なので、みな素通りで見向きもしないが、この形状、普通じゃないですよね?!激しく宇宙を感じるんだ。

 

20130608_541038
グエル公園は高いところにあるので、バルセロナの街並がよく見渡せる。
かすんで見えるのは、地中海。

 
 

「カテドラル」
SONY DSC
ゴシック地区のカテドラル(サンタ・クレウ・イ・サンタ・エウラリア大聖堂)。精密な美。こういうのも大好き。夕陽が差して神々しい。
(ガウディ作ではないです)

 
 

◉ おまけ ◉ 好き好きバルセロナ!
20130608_541045
通りを歩くと、あちこちに建物の素敵なファサード。目移りしてしまい、大変です。
ん?あれは?!

 

20130608_541044
こ、これは!
日本髪!
すごく不気味で面白い。グロテスクだなー

 

SONY DSC
夜はバルで一杯ひっかけたよ。
(カウンターで、隣の陽気な二人連れのおしゃべりに、耳を傾ける。
学生時代にスペイン語とっていたから、その内容はなんとなく…もわからない一語も…orz)

 

20130608_541047
目の前に並ぶタパス(小皿料理)を注文。
パンとチーズが美味しかったよ!

 

20130608_541048

 

20130608_541049
サンジュゼップ市場。
ぱちりと撮るだけで、雑貨屋さんの売れ筋ポスカの出来上がり!

 

20130608_541043
あちらこちらに教会があった。自由に出入りできるところがほとんど。
クリスチャンでなくとも、穏やかな気持ちにさせてもらえます。
キャンドルはガラスかな?と思ったのだけど、さわってみたらプラスチックだった。教会の入り口で販売もしていました。きれいだなー。

 
 

バルセロナ、自分は超絶好きになりましたよ。
いつかまたきっと来る!と心にかたく誓いました。

 

さて、アール・ヌーヴォー建築をテーマに、三回にわたり投稿してきた欧州レポートも、これでおしまい。
読んでいただき、ありがとうございました!

 

20130608_541042
 
 
 


Posted in デザイン