endless 山田正亮の絵画
Mandala Design sachiです。
新聞掲載の美術評に刺激され、「endless 山田正亮の絵画」展を観に行きました。(すでに会期終了)
この画家のことはまったく知らなかったけど、調べてみると色彩感覚が素晴らしく、作品の実物を是非見てみたいと思いました。
画家・古谷利裕氏による東京新聞文化面の美術評。
彼は山田正亮の
「自分の作品の展開は体系化されていて円環状になっている」
という言葉を紹介しながら
ー 「Work C」というストライプのシリーズを考えます。(中略)どのように分割してもその部分が一つの全体(秩序や律動のまとまり)として現れるのです。全作品のつくる円環構造、個別のシリーズ、個々の作品にも同じ関係があると考えます。全体も部分も、どこを切っても同等に全体なのです ー
と書いていた。
どこを切っても「全体」?!もしかしてフラクタル系?ホログラフィー系?
円環状!だからタイトルもエンドレスなのだな。
とにかく観てみるしかないー!
ということで竹橋の東京国立近代美術館にGO!
展覧会は3つのパートに分かれていた。
山田の初期の仕事である主に静止画のシリーズ「Still Life」
印象的なストライプやグリッド状に色を塗り分けるスタイルなどのシリーズ「Work」
そして最晩年のシリーズ「Color」。
*以下、画像はすべて東京国立近代美術館のページからお借りしました。
http://www.momat.go.jp/ge/wp-content/uploads/sites/2/2015/01/yamada_release_160921.pdf
1.Still Lifeシリーズ(1948-1955)
終戦後間もない時期の作品群。これらは実際の写生ではなく「記憶から描かれた」とのこと。
瓶や果物やグラスなどが溶け合うように描かれた作品を見ていると、「解体」や「崩壊」という言葉が頭に浮かんだ。
いったんほどいてからまた結ぶイメージ。
《Still Life no.64》1953 年
↑これらはまだそれぞれの物体の形に独立性があるが、年代が進むと次第に輪郭が曖昧になっていく。
2.Workシリーズ(1956-1995)
「Work C」のシリーズが一番楽しみだった。
(大好きなPaul Smithのストライプにもちょっと似てるし、これなら自分にも描けるかも?!と思ったり思わなかったりw)
《Work C.73》1960年
こちらはPaul Smithストライプ!
ー 3つのシリーズのうち、継続期間、点数ともに群を抜いており、山田正亮の中心的作品群といえます。そのタイトルは1950年代をB、1960年代をC、1970年代をD、1980年代をE、1990年代をFとして、制作の順に対応するとされる番号が付されています。たとえば、≪Work C.77≫は1960 年代に描かれた77番目の作品ということになります。紙作品には≪Work Ep.447≫というように「p」が付された別系統の番号が与えられています。(中略)
1995年、山田正亮は「Workの系列はその円環を閉じた」として、40年続いたその制作に自ら終止符を打ちました。 ー
出典:
http://www.momat.go.jp/ge/wp-content/uploads/sites/2/2015/01/yamada_release_160921.pdf
《 Work C.216》1964-65年
↑彩度の低い色味が洒落ている。配色が素敵。こんな作品、お部屋に飾りたいな。
《 Work C.77》1960年
《 Work D.259》1977 年
↑どこか1970年代風でスタイリッシュ。こんなタペストリーがほしい!
《Work F.116》1992年
3.Color(1997-2001)
「Color」は、「Work」の終了後、左眼の手術を経た山田正亮が「まだやり残したことがある」として始めたシリーズだとのこと。
今回の展示ではこのシリーズが会場の入り口近くにまず掲げられており、ここから始まる美しい色彩の世界に心躍った。
《Color no.98》1999-年
山田正亮はこのような体系化された作品作りのもと、何と約5,000点の絵画を残したのだそうだ。
半世紀以上にわたってひたすら絵を描き続けた彼は、自分のことを「絵画と契約」した男だ、と記していたという。
会場: 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
会期: 2016年12月6日(火)~ 2017年2月12日(日)(すでに会期終了)
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