トーマス・ルフ展
Mandala Design sachiです。
現代ドイツを代表する写真家であるトーマス・ルフ。
大いに刺激を受けました。
ー 現代ドイツを代表する写真家トーマス・ルフ(1958- )の日本初の回顧展。巨大なカラー作品のパイオニアとして80年代末に注目されたルフは、自ら撮影したイメージだけでなく、インターネット上を流通するデジタル画像からコレクションしている古写真まで、あらゆる写真イメージを素材に、新たな写真表現の可能性を探究してきました。そのユニークな作品世界の全貌を紹介します。 ー
出典:東京国立近代美術館サイト
http://www.momat.go.jp/archives/am/exhibition/thomasruff/index.htm#section1-1
初期作品から最新作まで、どれも写真表現というジャンルでは括れるけれど、シリーズごとに趣きがまったく違っており、観ているとイメージを刺激される。そして、自分も作品作りに挑戦したくなってしまう。そんな展示だった。
トーマス・ルフはデュッセルドルフ芸術アカデミーで学んだ「ベッヒャー派」として知られる。
いわゆる普通の銀塩写真での表現を極めたが、2003年には自分で写真を撮ることをやめてしまう。
以降、インターネット画像や新聞社のプレス写真のアーカイヴを利用するなどし、何らかの画像を加工する作品作りを続けている。
印象に残ったシリーズを以下に。写真撮影OKでした。
【Porträts(ポートレート)】
一 見ありふれた証明写真のようにも見えるポートレート。しかし巨大なサイズ(210×165cm)に引伸ばされた作品の前に立つと,そうした印象は一変します。ありふれた人物写真が,どこか不可解で不可思議な存在にすら見えてくるとすれば,そこには写真というメディア独自のメカニズムが働いているのではないでしょうか。ー
出典:東京国立近代美術館サイト
当初このシリーズは24×18cmという常識的なサイズで発表された。
その際に鑑賞者達は「これは誰それだ」と写されたひと達のことを話題にしていたのだが、次にこのサイズにすると「これは誰それの巨大な写真だ」と、写真を見ていることに自覚的になったという。そのエピソードが面白かった。
【negatives(ネガティヴ)】
全部ネガで展示してある。画像としてネガを見直すことで絵画性が深まる、とルフは語る。
【Nächte(夜)】
夜間でもわずかな光を増幅し可視化するという「微光暗視装置」を35mmフィルムカメラに取り付け、デュッセルドルフの街を撮ったシリーズ。
【Newspaper photos(ニュースペーパー・フォト)】
ルフは、ドイツで発行される新聞や週刊誌から、2,500枚を超える写真を切り抜きアーカイブしていた。
このシリーズは、その中から選び出した400枚を用いて、記事からキャプションや見出しなどの文字要素を除去するなどし、1990年に構成した。
新聞記事だと思われる画像なのに、スタイリッシュなアート作品とかポスターみたい!
自分も作ってみたい!
【Stereofotos(ステレオフォト)】
少し角度を変えて撮った二枚の写真を、左右それぞれの眼で見ることで立体視するステレオ写真。
専用ビューワーが置いてあり、それを使って観賞した。
楽しいし、そのまま観ても美しい!
【zycles】
ー 2008年より制作がはじめられたこのシリーズでは,ルフの関心は数学や物理学へと拡がっています。イギリスの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェル (1831-1879)の著した電磁気学の研究書の中に収められていた銅版画による電磁場の図版に触発されたルフは,さまざま数式がつくる線形を3Dプロ グラムによって再現し,コンピューター上の3次元空間で再構成しました。ルフによって平面作品へと変換された,こうした曲線の複雑な組み合わせは,惑星の軌道のようにも,あるいは抽象的なドローイングのようにも見えます。 ー
出典:東京国立近代美術館サイト
【Substrate(基層)】
シャボン玉の表面のようなモアレが美しいビジュアルで、ぱっと目を引くシリーズ。
日本の漫画やアニメから取り込んだ画像を使い、それに対してデジタル加工を繰り返し,画像から意味や情報を剥ぎとった作品群。
サイケデリックで面白い。
【photogram(フォトグラム)】
ー このシリーズのタイトルとなっている「フォトグラム」とは,1920年代後半にモホイ=ナジ・ラースローらによって開発された写真技法のひとつで,カメラを用いず感光紙上に物体を置いて直接露光し,その影や透過する光をかたちとして定着させる技法です。ー
出典:東京国立近代美術館サイト
【cassini(カッシーニ)】
ルフが少年時代から関心を持っていた宇宙。
1997年に打ち上げた宇宙探査船cassiniが撮影した土星と、その衛星の画像を素材にした作品。
正直、そんな作品もありなの?と驚いた。
インターネット上で公開されている画像の色彩やトーンを操作することにより、作り上げたイメージだという。
そういうのってやっていいのか!自分もやりたい!
【press++()】
このシリーズでは日本やアメリカの報道機関から入手した写真原稿を使い、画像処理をするなどしている。
巨大サイズになるとこのような情報も、手元で見ている時とまた違う別のイメージをまとうのが不思議。
写真というメディアにはまだまだ大きな可能性があるのだなぁ。
会場: 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
会期: 2016年8月30日(火)~2016年11月13日(日)(すでに会期終了)
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