『聖地チベット~ポタラ宮と天空の至宝』展 @上野の森美術館

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Mandala Design sachiです。

 

上野の森美術館で開催中の『聖地チベット~ポタラ宮と天空の至宝』展に
行って来た。

 

ーユネスコの世界文化遺産に登録されているポタラ宮や歴代ダライラマの夏の離宮だったノルブリンカなど、チベットを語る上で欠かせない各地の寺院や博物館から、美術・文化の名品が集まりました。出品全123件(173点)のうち、36件が一級文物(日本の国宝に相当)という貴重な作品を通して、チベット文化の精華に触れていただけます。ー

 

 

特に見たかったのはチベット密教の仏像や法具。
そしてタンカ。
タンカとは布に描かれた宗教画で、修行時に尊像をイメージする際の手助けに使用されると聞く。

 

20091208_1550947金剛宝座如来座像タンカ

 

上野の森美術館『聖地チベット~ポタラ宮と天空の至宝』展
http://www.seichi-tibet.jp/index.htmlより転載。
以下同じ。

 

 

20091208_1551065梵文「八千頌般若波羅蜜多経」

 

ダークトーンの赤や黄や橙が実に味わい深い。
落ち着く配色。びっちりお経が書かれている。
見ているだけで救われそう。
梵字というのは、自分の目にはとてつもなくスタイリッシュに映るんだ。

 

20091208_1550972ダーキニー立像

 

髑髏付きの宝冠やドクロの首飾り。
すべてにおいて過剰な感じが滑稽でもある。
アニミズムの香りもする。

 

20091208_1551058どう見ても過剰

 

他にも蓮をかたどった立体の曼荼羅だとか、水晶のついた仏塔だとか、儀式に用いる燭台など、小ぶりでかわいらしいものが沢山あった。
それらはみな、細部の造作が驚くほど細かく偏執的なまでの複雑さを持っているのに、全体として見たときのシェイプがすっきりとしているのが印象的だった。
イメージとしては、曼荼羅がやはりそうであるように、仏像や法具そのものも、この世のありさまというようなものを具現化しているのだと感じさせた。

 

タルチョ(ルンタ)の写真もあった。

 

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http://www.tibethouse.jp/culture/lungta.htmlより転載

 

 

旗の一つ一つには祈りの言葉や馬の絵が書かれており、これらがこうして掲げられることによって、祈願する力が風に乗ってあたりに広がって行くのだという。

 

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主に青、白、赤、緑、黄の5色で、青が空、白が雲、赤が火、緑が水、黄色が土を象徴しているのだそう。

 

 

仏教文化の息づく国において、密教儀礼(護摩行など)を実践しているのは今やチベットと日本くらいしかない、というのも初めて知った。
( 密教の思想は、インドにおいて体系立てられた。6-7世紀頃にそれが中国に伝わり、9世紀に空海・最澄らによって日本に伝えられた)

 

7世紀初め、ソンツェンガンポがチベット高原を統一し吐蕃王国を建てた頃のものから始まって、時代を追うようにしてチベット文化が順に展示されていたのだが、個人的には、「元・明・清との交流」以降のものにはそれ以前のような魅力を感じることができなかった。
なぜだろう。
ある種の「洗練」が、本来の原初的な魅力をそいでしまったように思われたのだ。

 

そんなことを考えながら出口からおもてに出ると、活動家の人が数人、たくさんのボードを並べて立っていた。
そうなのだった。
チベット文化に触れに行って、その瞬間までそんなことは何も考えずにいた自分は、はっとさせられたのだった。

 

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所の、
「聖地チベット ~ポタラ宮と天空の至宝~」展に関して
日本の皆様へのお願い

もここにリンクしておきます。

 

http://www.tibethouse.jp/news_release/2009/090928_appeal.html

 

 

『聖地チベット~ポタラ宮と天空の至宝』展
平成21年9月19日(土)-平成22年1月11日(月・祝)
*会期中無休
会 場:上野の森美術館
開館時間:
午前10時-午後6時(入館は閉館時間の30分前まで)

 

 


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